大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和38(あ)3187 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人坂本英雄の上告趣意第一点について。

所論は、本件盃の底部に貼付されてある写真はいわゆるヌードの範囲に属し、徒

らに性欲を興奮または刺戟するものではないから、原審がこれを猥褻図画に当ると

した判断は刑法一七五条の解釈を誤まつたものであり、かつ、憲法二一条一項の保

障する表現の自由に違反する疑があると主張する。けれども、原審が右盃を刑法一

七五条の猥褻図画に当るとした判断は相当であり、また、原審がこれを処罰の対象

としたことは、憲法二一条の保障する表現の自由といえども絶対無制限のものでは

なく、公共の福祉に反することは許されないものであり、芸術的作品すらも猥褻性

を有する場合があるとする当裁判所の判例(昭和二八年(あ)第一七一三号同三二

年三月一三日大法廷判決、刑集一一巻三号九九七頁)の趣旨に照らしても、所論憲

法の条項に違反するものでない。所論は理由がない。

同第二点について。

所論は判例違反を主張するが、原判決はその理由中に、猥褻性を肯定するための

要件としては(一)徒らに性欲を興奮または刺戟せしめ、(二)普通人の正常な性

的羞恥心を害し、(三)善良な性的道義観念に反するものであるとの三個の要件を

必要とするとの一貫した説示をなしているのにも拘わらず、所論は誤つて右説示は

一要件をもつて足るとの見解をとるものと解し、これに基いて判例違反を主張する

ものである。所論は前提を欠き理由がない。

同第三点について。

所論は事実誤認の主張であつて適法な上告理由とならない。

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

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よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和三九年五月二九日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 石 田 和 外

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